ひょうごのはなし

大阪生まれ大阪育ちの私が、仕事を通じてすっかりはまったひょうご五国の魅力を食を中心に伝えていくブログです。

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【吾妻堂】創業100余年。文化人、俳人に愛された羊羹【龍野<お土産>】

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 兵庫県の西方、「龍野」。

 

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 こちらの特産品は?というと揖保の糸!と答える方も多いかと思いますが、個人的にはその揖保川の恵みも大きく影響する「淡口醤油」を推したいところです。

 

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 醤油蔵が軒を連ねる小京都と言われるエリアからは川をはさむ形にはなりますが「うどん、うどん、すーぷー」のCMで知られるヒガシマル醤油だってこちらにあるのです。

 

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 今でも醤油蔵が並ぶ街並みは、醤油蔵の煙突が各所に望め、ミシュランに掲載されたような良い宿もある(加えて姫路あたりのビジネルホテルとそこまで価格がかわらなかったり)し、お洒落なカフェなんかも出来てきている魅力溢れる風景。

    赤穂や姫路と組み合わせてだとハードルも下がるので、わざわざ足を運ぶ価値はある町だと思っています。

 

 そんな龍野で私が愛する「吾妻堂」という和菓子店があるのですが、先日そちらで醤油饅頭と並ぶ看板商品の羊羹を頂戴致しましたのでご紹介させて頂きます。

 

 

 

【たつの・龍野・竜野】

 先ほどから「龍野」という表記をしておりますが「え?たつのでしょ?」「え?竜野でしょ?」と思われている方もおられるかと。

 これややこしいですよねー。私「恰好良いから」ということで、一番強そうな「龍」使いと化しておりますが、本当のところはなにが正解なのでしょう。

 

 たつの・・・自治体名(一番合ってる)

 龍野・・・歴史的固有地名

 駅名・・・「本竜野」「竜野」

 

 なのです。

 が・・・ 

開業当時の駅名表記は「龍野」で、1958年(昭和33年)11月当時の当駅の駅名標も「龍野」と表記されていた。書体が丸ゴシック体である事から、1954年(昭和29年)12月以降に書き替えられた物である。時期は不明だが、本竜野駅と共に表記が「龍野」から「竜野」に変わり、龍野市とは漢字が一致しなくなった[1]。この点については揖保川町史などでも言及が無く、開業当時から「竜野」駅だったように書かれる事が多い。

たつの市の代表駅は当駅ではなく姫新線本竜野駅である。当駅からたつの市中心部へは、たつの市コミュニティバス揖保川沿いに北上することとなる。

竜野駅 - Wikipedia

 

 めっちゃややこしーです。

 とりあえず恰好良いやつで表記しておきます。龍野。

 

 

 

【吾妻堂】

 

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御菓子司 吾妻堂

 

  「播磨の小京都」と言われる龍野には、末廣醤油、カネイ醤油といった醤油蔵が今も現役で醤油造りをされておられます。

 そんな街中に100年以上前から和菓子を作り続けるお店が。

 

御菓子司 吾妻堂

 

 でございます。

 是非少しでも多くの方に知って頂きたい名店でございます。

 

【ひしほ饅頭】

 

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御菓子司 吾妻堂

 

 龍野の特産品が「淡口醤油」ということで、「淡口醤油饅頭」がよく知られており、美味しいです。「塩×洋菓子」と同じ要領になるのでしょうが、醤油とあんこのバランスが素晴らしいのです。それをこちとら遠い昔から作られているのです。

 創業当時から作られておられたわけではなく、吾妻堂のかたと醤油蔵のかたが友達で「お互いの商品で面白いものを作れないか」と作った饅頭と以前どこかで伺ったことがあるような。。。(間違えてたらごめんなさい。知ってるかたおられたらコメントお待ちしております!!)

 

 ちなみに正式名称は「ひしほ饅頭」。なんとこちら吾妻堂さんが元祖の和菓子だとか(今は龍野だけでなく新宮あたりまで淡口醤油饅頭販売されています)

 

 赤穂のしほみ饅頭と違って賞味期限が3日程度しかないためか、なかなかお土産として色々なところで販売しているわけでないので、これを味わうのも龍野を訪れる良いきっかけでございます。

 

 【煉り羊羹】

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  そんな吾妻堂さんに、もうひとつ代表的な和菓子があります。

 それが「煉り羊羹」でございます!!

 

 【あれ?羊羹って・・・??】

 ちょいと脱線。

 今更ですが「羊羹」って不思議な漢字やなぁ、「羊」がなんで入ってるんだろう、と気になったので羊羹とはなんぞや、を検索してみました。

 

 

羊羹

 
もとは中国から渡来した料理の一種で、羊肉で作ったとろみのあるスープだった。羊肉を食べなかった日本では、小豆を蒸して羊の肝の形に作り汁に浮かべて代用し、後に羊肝形の小豆の蒸し物だけで供されるようになり、現在の菓子につながる。

 

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について

 

    

 

 

 羊(ひつじ)の羹(あつもの:スープの意)でようかん。意外にもそのまんま!

 それもへー、ですが、羊肉でつくったとろみのあるスープから和菓子になった過程ですごいあっさり書かれてることに衝撃!!

 日本人の発想力がすごかったんでしょうか・・・

 

【吾妻堂の羊羹】

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 こちら俳人中村汀女が好んだということでお店にも書かれており、有名になった羊羹です。

 

・中村汀女(なかむらていじょ)

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 上品な方です。

 NHKでラジオまでされておられたとはアクティブは文化人のかただったんですね。

 

https://intojapanwaraku.com/culture/20160628/4500/p2

 ↑こちらにめちゃくちゃ丁寧な文章でまとめられてました!

  そんな汀女が推薦文を寄せるほど気に入っていたのは、兵庫県・龍野にある老舗『吾妻堂』の煉りようかん(写真上)。その姿と色を「沈んださくら色。(略)なかなかの品格です」と呼び、「私は〝もどりかけ〟の角の堅いようかんが好きなものですから、これは私向きです」と記しています。

 

『吾妻堂』の練りようかんは、収穫にも下ごしらえにも手間のかかる貴重な素材である播州地方産のササゲ豆を使用。また、岐阜県産の天日干し寒天を使っているため、食べると歯がめりこむほどに練りが強いのも特徴です。
「汀女が書いた〟もどりかけ〟というのは、練った熱いようかんがゆっくり固まる過程でザラメが結晶化し、シャリシャリとした歯触りになる状態です。毎日午後から練りだけに専念し、ひと晩かけて固めるため、結晶がつくのです」
 と四代目。汀女の言う品格とは、つくり手の、愚直なまでの一生懸命さを指すのかもしれません。

 そう、こちらの羊羹はザラメが固まって白くなっていく姿が本当に美しいです。

 

・秦秀雄

 

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 またこちら、秦秀雄という方が婦人雑誌に寄稿したことでも大変有名。

 この秦秀雄という方がすごい方です。

 魯山人経営の高級料亭星岡茶寮支配人。号は珍堂。明治31年(1898)福井県三国町に生れる。北大路魯山人に抜擢され星岡茶寮支配人となる。その後目黒の驪山荘を経営、昭和18年伊東温泉に疎開以来、古美術探究と鑑賞に専念する。

秦秀雄とは - コトバンク

 そして井伏鱒二の小説、「珍品堂主人」のモデルとなった、当代屈指の文化人とのこと。

 

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 そんなすごい方がなんの前知識もなく立ち寄って、その美味しさに感動して婦人雑誌に記事を掲載。昭和53年にそれらをまとめた「忘れがたき日本の味」が出版。

 当時の掲載から昭和50年以前に吾妻堂を訪問されていたようです。

 

 多くのものが大量生産にはしっていた当時、食品ももちろんその流れの中にあり「本当に美味しいお菓子がなくなってきた」ことを嘆いておられた秦秀雄氏。

中にはいってゆくと、平べったい「文藝春秋」くらいの大きさで、厚さまでちょうどそのぐらいの羊羹を、切りもしないでそのまま箱に入れて売っている。
小さく切ったのを一つつまんで試食したら、こいつがおいしい。
ほうぼう知り合いの、菓子を喜ぶ人のことを思い出して送ってもらうことにした。
竜野市下川原の「吾妻堂」という店であった。
東京・武蔵野吉祥寺「小ざさ」の羊羹と、その味わいがたいへんよく似ている。
その小ざさがあんまりはやって容易に買えなくなったやさきのことで、気をよくしてここから送りつけてもらったりもした。

 めっちゃ気に入りはった様子が今でもリアルに伝わってくる素敵な文章です。

 

 貴重な羊羹でございます。

 心して頂きます。

 

【頂きます】

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 すいません。開けてすぐじゃないです。

 数切れずつ頂いてから撮影したので実際はもう少し大きいです。

 手前の薄いピンク色が中村汀女が「しずんださくら色」と表現したササゲ豆を使用したものですね。

 

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 先日お店に伺った際にささげ豆がケース上に展示されていたので撮影させてもらいました。こんな感じのお豆さん。黒いところが口のキャラクターみたいで可愛いです。 

 

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 箱。

 

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 箱を開けるとお手紙が。こちらの内容は伏せておきますが和紙につつまれて素敵でございます。

 

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 お手紙の最後には昔から使われているのでしょうか。

 かわいらしいイラストが印刷されておりました。

 

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  これこれ!!

 表面の砂糖が固まって凍っているように見えます。

 置いておけば全体が真っ白になるので、「カリ」とした食感を好む方は時間を置いて召し上がられるようですね。

 奥にあるのがササゲ豆ですね。 

 手前はなんなんやろ・・・見ての通り栗が入っているので丹波の小豆かしら。

 どちらも甘さもほどよく上品。

 お茶が良く合います。

 

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 最初に頂いてから、あらためて見るとこんな感じに。

 全体に薄く切って置いておけば、真っ白になってカリカリ好きには堪らない風情が出そうです。あぁ。。。もっときれいにいっぱい写真撮影しておけばよかった。。。

 

 

 味と、過去の偉人たちが愛した味が今に伝わっていて同じものを食べることが出来るという喜びが混ざり、本当に貴重な時間を過ごすことが出来ます。

 

 いつも年末に頂くこと、「年末の予約開始しました」と10月にホームページに書かれておられることから、「期間限定」「数量限定」かもしれませんが、龍野に寄られる際には是非店に問い合わせて頂きたい羊羹でございます。

 ※ただしここのを食べると市販のものがほんと食べれなくなるというデメリットもございます。。。

 

 日曜日が定休日ですが、ぜひ龍野に行った際に寄ってくださいねー。

 ホームページを見ると播磨方面の百貨店では催事もされておられるようですね。

 出来ればこの街の空気、店の空気も合わせて味わっていただいて散策もするのがお勧めですが、手に取れる貴重な機会なので百貨店などでバッタリ出くわしたら騙されたと思って是非お召し上がりくださいませ!

 

 あー、長文失礼いたしました。

 

 

取材依頼、撮影依頼、ご意見等、下記よりお問い合わせお待ちしております。

www.hyogonohanashi.com

 

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