【いかなごくぎ煮】明石神戸に根付く特産品。歴史を紐解いてみたい。
いかなごのくぎ煮は兵庫県の春を告げる郷土料理 ネット通販で評判のお店は?
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明石、神戸の代表的な特産品であるいかなご。
全然季節は外れた感じの記事になりますが、「樽五協和商事」さんの記事をアップするにあたってまずはいかなごのことを知ってもらわないと、てゆうか僕自身が歴史に根付いた知識などもなく、浅く語ってはいかんのじゃないか、と独立した記事にすることにさせて頂いた次第。
【いかなごのくぎ煮、知ってるかい?】
さて。いかなごくぎ煮。
神戸、明石ではもうめちゃくちゃメジャーな食文化。
大阪の私のところにもその知名度は十分届いております。
ところが以前全国から人が集まる場にお土産として用意したところ、そこから離れると全く知られていないということが発覚・・・!!
なんてこった。こんなおいしいのに。
これがあるだけでごはんがなんぼでも食べれるすごいやつなんですよ。
いかなごのくぎ煮とは、生の新子を醤油・砂糖(ざらめ)・生姜で煮詰めたもの。
と書くとシンプルですがこいつの面白いのは各家庭にそれぞれの長年積み重ねてきたこだわりがあること。
なんで、少しずつ味が違う。
正直その違いを理解できるほどおいしんぼレベルは高くないですが、こだわりについて熱く語られるのを聞きながら頂戴するのがほっこりするわけです。
ごはんのお供に最高です。
私はくるみと一緒に炊かれてるやつが大好物。
【いかなご】
イカナゴ (コウナゴ) | 市場魚貝類図鑑
・「いかり魚=カマス」の幼魚の意味。地方の呼び名に「かます子」とあるのと同じ。「いかり」とは「いかる=とがる」の意味で栗の毬(いが)と同義語。
・イカナゴの小さいものが、いかなる魚の子であるかわからないため、「如何子」の意味。
カマスの幼魚。いかなごの小さいもの(くぎ煮になるくらいのサイズかな?)がどの魚の子かわからないから「如何子」て。どこの子やお前はー!!が由来とは。
ちなみに「玉筋魚」と書きます。
和食店でメニュー見て読めなかったことあります。
「玉袋筋太郎みたいだね」とか言ったら神戸のひとはガチ切れすると思うのでそっと心の中で思い浮かべてあげてください。
【各地でのいかなごの呼び方】
イカナゴ/兵庫県
カナギ/福岡県福岡市
コオナゴ(コウナゴ。小女子)/関東、愛知県。
シラス/宮城県釜石、大槌町、宮古で稚魚を。
ボーコーナゴ/愛知県で親魚を。
メロード・メロウド・メロド/宮城県釜石、大槌町、宮古で大型を。
ヨド/宮城県石巻魚市場
大小による呼び名の違い
■東京ではコオナゴと云い、六月上総から来るものはコオナゴカマスと云い、佃煮としてはカマスジャコと云って売っている『図説有用魚類千種 正』。
■大阪ではカマスゴ(梭子魚子)。これはシュロや藁で編んだ叺(かます)に入れて運んだため『広辞苑』。
■京都、大阪でも非常に小さなイカナゴのちりめんを「かなぎ(かなぎちりめん)」と呼ぶ。
■関西、兵庫などでは生まれたばかりのものをシンコ(新子)。新子のなかでも漁期初めの非常に小さいものはコナ。
成長したものをフルセ(古せ)と呼ぶ。北海道でオオナゴ。
その他 アブラウオ、アブラメ、イナゴ、ウラカナギ、ゴウナゴ、コウナゴカマス、コナゴ、スブドウシ。
びっくらこいてしまった・・・いかなごにこんなに呼び名があるなんて・・・
他府県の人と話してて「いかなご?なにそれ?」て聞かれること多かったんですがそのときに「あぁ、あなたのお住いのあたりで〇〇って呼ばれてる魚の事を兵庫ではそう呼ぶんです」って説明してあげればすぐに伝わったってことか・・・毎度毎度延々と説明してしまっていた。お恥ずかしい・・・
【くぎ煮の名称の由来】
これ、僕も色々と由来について伺うことがありますが、主要なのは
・できあがりが釘を思わせるから
・昔は本物の釘を入れて炊いていたから
の2つですね。
「くぎ煮」の誕生や名前の由来は数多く伝えられております。
「できあがりが錆びた釘のようだ」とか実際に釘を入れて炊いていたなど。
現在いくつかのくぎ煮に関する説があります。
【漁の解禁を待ち望みながらタッパを買う】
漁の解禁は今年昨年は同じ3月7日。
まさしく冬のおわりか、春の訪れか。
季節を知らせる風物詩。
で、大阪湾は3月18日、播磨灘は3月22日で終漁。
年々減少することも考慮されてか、2週間ほどの漁期です。
漁師でもない一般人が「今年のいかなご漁の解禁日」の情報交換をして、明石あたりのスーパーではいかなご用のタッパが積みあがる(自分用あけじゃなく友達とかにもばんばんくばっちゃう)サンテレビ、神戸新聞には初日の様子は大々的にとりあげられる。
【どうなるいかなご】
そんな食文化がピンチな今年でした。
とにかく「い・・・いかなご・・・全然獲れね!!!」やったわけです。
・漁獲量
いかなごは、兵庫県瀬戸内海側の漁獲量の約3割を占める大変重要な魚種となっています。 いかなごの漁獲量は、増減を繰り返しながら、平成 14 年頃までは概ね 20,000 トン前後で推 移していましたが、近年は 10,000 トン前後で推移しています。最も多かったのは昭和 45 年の 38,948 トンとなっています。平成 23 年以降全国 1 位の漁獲量となっていますが、近年は減少 傾向にあり、水温の上昇や栄養塩の不足などによりさらに減少することが懸念されています。 いかなごの資源を持続的に利用するために、一定以上の大きさになるのを待って漁を解禁した り、操業時間の制限や終漁日の決定など、漁業者が話し合って自ら資源管理に取り組んでいます。
H26年度の資料なんで、今年みたいに「や・・・やばい!」となる前の兵庫県からの資料。
この段階で「昭和45年 38,948トン」→平成14年頃まで20000トン→H26年時点 10000トン。と衝撃の下降をたどってます。
なんや。じゃあ関係者みんな早かれ遅かれこうなることはわかってたんやん。
大きさやら期間を決めてるけど、それありきでの今日やん。
「いかなご祭り中止」なんてニュースもあった。
重要種であるイカナゴについて
↑とある資料にてこんな記述。重要種なんかい。
「風物詩ー」とかうかれる場合じゃなくなってきてるじゃないの。
これから気軽にいかなご食べにくいな。ここぞ、てときだけにする。
完全に制限をかけないと、海の資源は成長と漁獲のバランスがおかしくなるのなんてなんとなく理解できるよ素人でも。
【もう家でいかなご焚かないよ!】
そんな漁獲量は当然販売価格に反映されるわけで今年は例年の倍くらいの価格になっているとのこと。
私は家でくぎ煮を炊く習慣がなく、実感としては薄いのですが、百貨店とかに並んでるくぎ煮見るとまぁびっくりです。
サイズは大きいもんの神戸牛買えるんじゃね?くらいの勢いのも。
というわけで今年は神戸、明石の方もくぎ煮を断念、もしくは昔からの習慣やからなんとか自用だけでも・・・と友人への配布を断念されるかた続出。
(知人も毎年のことでもらえるもんやとおもてて、そういう方に”楽しみにしてくれてるのにごめんね・・・”というプレゼントするほうが後ろめたいやり取りを度々目にしてあぁ地元に根付いていた文化なのだなぁと痛感。
今年きびしかったね、じゃなくて来年どうなるかもわからない。
明石たこもとれなくなって、しらすもあがって、海苔まで不漁で値上げが相次いでいる。明石たこ使った商品、よく売り場を見ると年明けくらいからばーん、となくなってました。
どうなる、瀬戸内海。
風物詩が姿を消さないために、少し我慢をすることも必要なのだ。
あらためてこの投稿を通じて痛感した次第です。